京都府亀岡市における小学生タグラグビーの取り組み
-ラグビー競技人口・サポーターの拡大-
中川 健志(亀岡市立保津小学校)
キーワード:亀岡市、タグラグビー、小学生
【目 的】
- タグラグビーを通して、児童の心身の健全な育成を図る。
- 児童の運動やスポーツに親しむ姿勢を育てる。
- ラグビーの関心を広げ、ラグビー人口やサポーターの拡大を図る。
【方 法】
- 教職員及び学校関係者に小学校での体育授業にタグラグビーの導入を促す。
- 亀岡市ラグビーフットボール協会から講師を派遣し、出前授業や教職員への研修を行う。
- 市協会主催(亀岡ラグビー祭等)の行事に小学生タグラグビー交流試合を取り入れる。
- ラグビー日本代表選手やトップリーグの選手、また市内中学校・高校ラグビー部の選手と交流する。
- 協会及び各種団体がを得て主催する小学生のタグラグビー大会(府・市教育委員会後援)に積極的に参加する。
- 「亀岡市タグラグビー教室」を組織し、亀岡市内小学生のタグラグビー経験者の増加を図る
【結果と考察】
- 過去4年間で小学生約600名以上がタグラグビーを経験。
- 中学校ラグビー部の入部者の増加
- 小学生の時のタグラグビーの経験者が高校ラグビー部へ入部。
- ラグビーへの関心の高まり(府内・近畿圏内有力チームの出現・保護者のラグビーに対する意識の変化)
- メディアの関心の高まり(小学生のタグラグビー大会及び交流会への新聞、テレビ取材)
- 小学校教職員のタグラグビーに対する意識の変化(小学校教職員が中心の大会運営)
【まとめ】
ラグビーとタグラグビーは、試合形式やプレーの特徴、練習内容などを考えると、まったく別のスポーツととらえることが一般的である。
その理由の一つに、ラグビーではタックルやあたりなどの”コンタクト”がゲームの勝敗を大きく左右し、逆にタグラグビーはコンタクトを禁止しているスポーツであることがあげられる。もちろん、その他にもたくさんの相違点がある。しかし、タグラグビーとラグビーは全く別とは、必ずしも言えない側面もある。それは、小学生の時にタグラグビーを経験した子どもが、ラグビーに関心を持ち、実際に中学校や高校のラグビー部に入部する児童が増えつつあるからである。また、タグラグビーを経験した女子が、テレビで高校や大学ラグビーの試合を熱心に観戦したり、自分の子どもがタグラグビーを始めたきっかけに、その保護者が子どもを連れて、花園ラグビー場に足を運び、トップリーグの試合を観戦したりするなど、タグラグビーからラグビーへの動きが少なからずある。ここで、確認していきたいことは、亀岡市のタグラグビーの取り組みは将来ラガーマンを育てることが最大の目的ではない。そうなることはラグビー関係者として、もちろんうれしいことではある。しかし、亀岡市協会のタグラグビーの取り組みは「タグラグビーを通して運動やスポーツが好きになり、友だちや仲間を大切にする姿勢を育てる子どもを育成する」ことを大きな目的としている。その結果、たくさんの児童が、自然にラグビーというスポーツの楽しさ、競技性、精神などに魅力を感じ、ラグビーの競技人口やサポーターの拡大につながることが望ましいと考える。