日本ラグビー学会第5回大会のご案内

日本ラグビー学会第5回大会を下記のとおり開催いたします。

本学会の特徴を生かした、幅広い視野からのアプローチによる有意義な大会にしたいと考えておりますので、多数の方々の発表とご参加をお願い致します。

一般発表(口頭)、特別講演、シンポジウム、総会等を予定しております。

■期日 平成24年3月25日(日) 10:00~16:00

■会場 関西大学 第2学舎 1号館
 〒564-8680
 大阪府吹田市山手町3-3-35
 TEL 06-6368-1121
 阪急千里線「関大前」下車 徒歩5分

■大会概要
 受 付:第2学舎1号館5階 9:30~13:00
 参加費:会員 1,000円  一般・学生 無料

(1)一般演題発表 10:00~11:00

(2)特別講演 ☆スペシャルトークショー11:10~12:00
「ラグビーを通した国際協力 」-タンザニアでの活動-
  演者:服部 貴紀 氏 (7人制ラグビー19歳以下タンザニア代表チームコーチ)

(3)シンポジウム  13:45~15:30
「大学ラグビーの今後のあり方について」 
 〈コーディネーター〉
  小田 伸午 氏(関西大学 人間健康学部教授)
 〈コメンテーター〉
  河瀬 泰治 氏(摂南大学 ラグビー部監督)
 〈シ ン ポ ジ ス ト〉
  岩出 雅之 氏(帝京大学ラグビー部監督)
  小松 節夫 氏(天理大学ラグビー部監督)

(4)定期総会 12:15~12:30

(5)懇親会:新関西大学会館〈4階〉レストラン「チルコロ」 16:00~


【お問合せ】
日本ラグビー学会第4回大会事務局

〒564-8680
大阪府吹田市山手町3-3-35
関西大学 文学部 身体運動文化専修 溝畑寛治気付
日本ラグビー学会事務局
TEL 06-6368-1121
FAX 06-6368-1268

日本ラグビー学会第4回大会についてのお知らせ(緊急)

会員各位

日本ラグビー学会
会長 溝畑 寛治
理事長 石指 宏通
大会実行委員長 三野 耕

 この度の「東日本大震災」におきまして、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げると共に、お亡くなりになられた方々にはご冥福をお祈り申し上げます。
また、一日も早い復興を願っております。

 さて、3月27日(日)に開催される「日本ラグビー学会第4回大会」は一部予定を変更して開催することとなりました。
なお、会場にて義援金募金活動を行います。現状をご理解いただきご了解くださるようお願い申し上げます。加えて、多くの方々のご参加をお待ちしております。

【変更点】
シンポジウム終了後の「懇親会」は中止とし、講演会・シンポジウムからの意見交換会と致します。

高校ラグビー選手におけるメンタル・コーチングについて

高田正義(愛知学院大学)

キーワード:メンタルコーチング、大会直前、自信の形成

【目的】
第3回日本ラグビー学会において、ラグビー選手におけるメンタルトレーニングの短期的効果について報告をした。その際、介入が短期的であるが故、トレーニングという概念は不適切であると述べた。アプローチとしては、コーチングまたはコンディショニングと考えるべきであろう。精神的エネルギーのコントロール方法や試合前の心理的準備は、経験値が大きく影響するといえる。したがって、試行錯誤によってそのスキルを獲得することが一般的である。しかしながら、目前に試合が差し迫り不測の状態が生じた場合には、科学的なサポートが解決の糸口を与えるものだと考えられる。
本研究は、インターハイ出場チームが大会直前に監督不在となり、4日間のメンタルコーチングを行うことにより、どのように意識が変化したのかを検討するものである。

【手続き】
日   程:平成22年12月25日~28日
場   所:大阪府某ホテル
対 象 者:○○県代表チーム
プログラム:以下参照

  1. 現状分析(自己分析、チーム分析)
  2. メンタルトレーニングの概要説明
  3. 目標設定(結果目標、パフォーマンス目標)
  4. セルフコントロール(呼吸、感情、認知)
  5. リラクゼーション
  6. ルーティン(生活ルーティン、パフォーマンスルーティン、思考ルーティン)
  7. セルフトーク
  8. アファーメーション
  9. コンディショニングチェック(身体、心理)
  10. プラス思考
    など。

【結果と考察】
メンタルコーチングを受ける前と後では、全選手(100%)が考え方や練習に変化があったと答えている。図1に示されているように、「リラックス」、「集中」、「自信」など、集団が積極的に活動する為に有効であると考えられる要因に変化があった。

図1

試合直前であった為、選手は積極的にメンタルコンディショニングに取り組んでいたと考えられる。徐々に、考え方が試合に対してポジティブな方向へと変化していった。今までの努力が正しかったこと、試合で力の全てを出し切ることが浸透していき、自然に「自信」が形成されていった。

【まとめ】
 4日間の短期的メンタルコーチングにおいて、以下のことが示唆された。

  1. 全ての選手が、考え方や練習中の雰囲気に変化があったと回答している。
  2. 「リラックス」、「集中」、「乗り」、「自信」などの要因に影響があった。
  3. 今回のチームは「自信」を形成するプログラムが、有効であった。

京都産業大学ラグビー部におけるレギュラーと非レギュラーの体力差異

淡路靖弘(京都産業大学ラグビー部) 大西健(京都産業大学教授) 溝畑潤(関西学院大学准教授)キーワード: 身体組成、筋持久力、筋パワー、心肺機能

【目的】

ラグビ-フットボール競技はそのスポーツ特有の特徴として前後半80分間常に走り続ける走力が求められると同時に、相手選手に打ち勝つ接点の強さが要求されるある種格闘技の要素が多分に含まれる激しいスポーツである。近年、日本のラグビー界においても社会人選手、大学選手の体格は増加傾向にあり、様々なトレーニングにより選手個人の体力は向上していると言える。ラグビーに必要とされる体力とは体のサイズの大きさ、筋持久力、筋パワー、心肺機能を指し、このいずれかを欠くことは勝利を得るための致命的な欠落と言える。またチーム内においてもレギュラーになる為にはそのような高度な体力が要求され体力の劣る選手はおのずとレギュラーになることは困難な事となる。
本研究は1年間を通じ、様々なトレーニングにより各選手の体力向上を図り、京都産業大学ラグビー部におけるレギュラーと非レギュラーの体力の差異を検証するものとする。

【調査方法】
関西Aリーグに所属する京都産業大学ラグビー部において部員74名を対象にし以下の項目を調査した。
1)身体組成
身体組成は4月、6月、10月の計3回にわたり各選手の年齢、身長、体重、体脂肪率、脂肪量、除脂肪体重を測定した。
2)筋持久力 3)筋パワー
筋持久力及び筋パワーは週5回朝練習としてウエイトトレーニングを実施した。
4)心肺機能
心肺機能向上のトレーニングではボールを用いてのピックアップと呼ばれる京都産業大学ラグビー部独自のランニングメニューを敢行した。トレーニング効果を確認する為に、3000m走のタイムトライアルを実施した。

【結果と考察】
1)身体組成においてFW,BKともに体格はレギュラー組の方が非レギュラー組よりも優位な数値を示している。しかしながらFWのレギュラーと非レギュラーは体重は増加傾向にあるが、BKに至っては体重は測定開始当初よりも減少傾向にある。
2)3)FW、BKともにパワーの向上はみとめられた。しかしながらBKについてはパワーの向上は微増に留まっている。
4)心肺機能の向上はFWについては大きな改善が認められた。しかしながらBKは3000m走の測定によって改善はあまり見られず、またレギュラーと非レギュラーの平均タイムの逆転現象が起こっている。

【まとめ】
FWのレギュラー選手と非レギュラー選手との体力差は調査項目の全てにおいてレギュラー選手が優位な数値を示した。一方のBKに関しては身体組成、筋持久力、筋パワーの調査項目においてレギュラー選手と非レギュラー選手との優位的差異は認められず、心肺機能の優劣差ではレギュラー選手よりも非レギュラー選手の方が数値的優位を得ている。このことから京都産業大学ラグビー部においてはBKの更なる体力向上がチームにとって必要不可欠な要素であると推測される。

女子ラグビーの現状と問題点 ~ 62人へのアンケートから ~

星野繁一(龍谷大学大学部)  髙木應光(NPO神戸居留地研究会)キーワード :オリンピック、女子7人制、高年齢、練習不足、底辺拡大

【目的】
2016年リオ五輪では、男女とも7人制が正式採用される。従って女子7人制は、今後とも普及が見込まれる。筆者らも女子ラグビーには多くの知識を持ち合わせていなかったが、これを機に女子ラグビーについてアンケート調査・考察することで現状や問題点を把握、提言できると思う。

【調査方法】
昨秋、神戸での「第13回女子ラグビー関西大会」に参加した5チーム(兵庫,京都,大阪,寝屋川,名古屋)の62名からアンケートを回収した。調査項目は以下の通りである。
1)所属クラブ 2)年齢・学校  3)身長・体重  4)ラグビーをするきっかけ  5)ポジション  6)ラグビー以前のスポーツ経験  7)練習場所・回数・専門コーチ・試合回数  8)7人制の戦術・適性  9)現状での不足なこと  10)ラグビーの魅力 11)各自の最終目標

【結果と考察】
2)の項目(以下同様)2016年のリオ五輪時がピーク期と思われる大学・専門学校・高校生らが16名・26%。一方、社会人が41名・66%で多く、そのため平均年齢が28歳と高い。至急、中学生も含め競技人口の低年齢化を進める必要がある。
4)親・兄弟など家族からの影響が25名・40%で最も多く、次いで友人・知人・先生によるものが34%。協会の刺激策によるものは7名・11%に止まる。従来からの協会活動の継続はもちろん、現在の親たちは、かつてのラグビーブーム世代で、この世代への強い働きかけが効を奏するだろう。
6)球技出身者が多く58名・62%を占める。その内訳はバスケットに代表されるゴール型の32名・34%、テニスのようなネット型(含野球型)28%。水泳・陸上・格闘技等も32%、中には体操など表現系も6名いた。他競技からの転向者も活躍可能なことを示している。だが7人制を目標とするとゴール型の出身者の方が有利だろう。
7)練習回数1回/週(以下同様)が34名・55%、2回が15名・24%、3回は12名・19%だった。1・2回合計で約8割を占め、練習不足が感じられる。試合回数では年間2~3回が23名・37%、4~5回が19名・31%。計2~5回で実に7割、試合回数の少なさが大いに問題である。練習に加え試合も不足では、強化もままならない。また中・高生の場合メンバーの少なさが試合回数の少なさの原因である。今後スクールで中・高生の女子部門を拡充する必要がある。
8)7人制の未経験者が21名・34%も存在している。各クラブともメンバー不足を嘆くが、7人制を主とすれば有利ともいえる。だが適性の問題もある。「15人制との戦術上の違いを理解」と回答者プラス「まあまあ理解者」14名・23%を含めても6割弱。戦術の充分なる理解なくしては、勝利もおぼつかない。
9)技術不足・練習時間の不足・体力スタミナの不足などの記入が目立つ。まとめると練習回数・練習時間の不足に起因する回答が、実に9割を占める。平均年齢の高さは、社会的役割の増大と関連し練習不足の原因になっているのだろう。
10)コンタクト系に魅力を見出している回答が半数。集団プレー系への回答者も約半数を占め、共にラグビーの本質に魅力を感じているようだ。
11)五輪出場を目指す人、少しでも強く・上手くなりたい人など競技力向上を目標に掲げた選手が多く38名・60%に及んでいる。一方ダイエット等、健康志向の回答も14名・22%あった。

【まとめ/課題】
 他競技からの移籍も含め女子ラグビーの人口増大。練習時間・回数の増加。そのために男子同様、既存制度での女子中・高・大生部門の確立及び大会の開催。7人制コーチの養成(資格)制度の確立、7人制の戦術理解の徹底。これらが必須であろう。

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