おとなのラグビースクール その効果
鈴木 道男(どんぐりラグビークラブ)
キーワード:生涯スポーツ、健康、普及、交流、スポーツマネジメント
【緒言】
一般的にラグビーを始めるきっかけとして、学校体育授業、クラブ活動、子供たちのラグビースクールなどがあるが、その機会を逃した社会人は「ラグビー」に接する機会が少なく、初心者向けラグビー情報の窓口は見つけにくい。 また壮年向けのラグビークラブも、ほとんどが経験者向けのコンテストラグビーを行っているので、プレーを継続するのは困難である。1996年「どんぐりラグビークラブ」が発足、40歳以上のシニアエンジョイラグビークラブとして活動してきた。 10年以上の普及活動を通じての経験から、さらに充実発展を図り、2007年4月より新しく「おとなのラグビースクール」がスタートした。 これは生涯スポーツとしてのラグビー普及とあわせて、健康増進と生きがいの提供を明確に目指して、高齢化時代のニーズに沿うプログラムである。
【目的】
「おとなのラグビースクール」は、生涯スポーツのひとつとして成人を対象としたラグビーの普及、プレーを楽しむ機会提供を行う。 あわせて参加者の健康増進、生きがいの提供、生涯にわたっての健康時間の確保による医療費節減、また社会人、壮年世代のラグビーファン層の拡大、その家族、友人、子供たちのラグビー参加機会の増大などを目的とする。 ラグビーの楽しさや感動を、一般社会人、シニア世代、すべての初心者に届ける。
【方法】
口コミ、ポスター、インターネットなどの広報媒体で参加者を募集し、毎月1~2回、安全に配慮した芝生グランドを中心に活動し、ラグビーの基本から学び楽しむ活動をする。
- ストレッチ・ウォーミングアップ 加齢による筋肉老化防止、メンテナンス、個人差のある体力、筋力に配慮して十分な時間をかけて準備運動を行う。
- グリッド・個人的基本練習 ラグビーのプレーに必要なハンドリング、基本的動作について、その目的、コツなど説明しながら反復練習し、参加者の身体に馴染むようにしっかり習得する。
- コンタクト基本練習 ラグビーの特徴であるコンタクトプレーの理論と基本を学ぶ。
安全の根幹を成すものなので入念に練習する。 - グループ練習 ラグビーのゲームで必要なポジションの連携基本練習を行い、ボールキャリアーを頂点とする動き方など、自然な動作が出来るようにする。
- タッチフットボール コンタクトプレーがないゲーム形式で、敵味方の位置関係の把握、パス連携などそれぞれのペースで楽しむ。
- マッチ 実際のラグビーゲームに準じたミニゲームを行い、各ポジションの特性、ルールの把握をして、ラグビーの楽しさを味わう。
- クールダウン 練習後の整理運動、後日に疲れを残さないようにクールダウンを行いながら、その日の練習内容について質疑応答を行い、理解を深める。
- その他 ルールやゲームの楽しみ、ラグビーの歴史、現状など、一般知識、マナー、ラグビーの品格など、教養としても楽しく講習する。
【結果と考察】
20才代の初心者から60歳代の参加者を得る。それぞれの参加動機としては、成人病予防、スポーツとしての楽しみなど、要望を満たす。またグランドでの交流により精神的な充実感を得て、生きたラグビーの情報交換ができる。
課題
〈1〉芝生グランドの確保 グランドを所持する企業、団体などと密接な関係構築、インフラの整備、特に「グリーンスポーツ鳥取」の取り組みのように、グランドを芝生化していく。
http://www.greensportstottori.org/lawn/
〈2〉運営スタッフ養成、モチベーションの高い指導力のあるコーチの確保 快適な環境づくりが必要である。
〈3〉運営組織の確立、スポーツマネジメントの充実など。
【まとめ】
生涯スポーツとしての「おとなのラグビースクール」は、ラグビー参加機会の多様化に貢献し、「健康増進と生きがいの提供」、ラグビーの普及、発展、活性化に大きく寄与できる。