NZワイカト・ラグビーユニオンのケース
宮浦成敏(ワイカトラグビーユニオン)
西尾 建 (ワイカト大学)
キーワード:強化育成システム、評価基準、スカウティング
【目的】
昨年日本で開催されたU20世界ラグビー選手権では、参加国のユース世代のレベル高さが証明され、ユース強化の重要性を再認識させられた。本発表においては、世界トップレベルのNZラグビー選手育成システムの現状を紹介し、今後の日本ラグビーのユース育成で生かせる要素、アイデアを探る。発表では、日本ラグビー強化育成プロジェクト(ATQプロジェクト)で実績があるワイカトラグビーユニオンでの16才から18才の強化育成システムとプログラムの事例を紹介する。
【選手強化育成の概要とプロセス】
アカデミーの選手たちは、14才から18才(ユース世代)の時期に競技力の向上とともにプロラグビー選手としての将来の選手像を意識し、自己管理や自己責任など社会的な規範も身につけて成長していく。NZのユース世代の強化においては、早期に選手の能力を見極め、その後各年代ごとに段階的に選手の能力を向上させていく強化育成プログラムが確立されている。ただアカデミー選手選抜に関しては単年評価であり、同年代との厳しい競争の中でお互い意識しながらプロ選手を目指している。
本発表においては、ワイカト・ラグビーユニオンにおけるユース世代強化ストラテジーにおける、
- スカウティング、エリート強化・育成、選手評価、プロフェッショナルへの指導のプロセス
- 年代別の指導カテゴリー、そして選手とともに進捗度を確認し、成長過程のフィードバック
- 選手として意欲的な活動の実現を目指していくための目標設定
について、実際にアカデミーで使用されている例も交えて紹介、考察する。
【まとめ】
アカデミーでは、強化育成プログラムにもとづいて一貫した指導が行われている。指導の中で最も重視しているのは、選手とコーチ(指導者)のコミュニケーションである。各選手の技量の評価とフィードバックを通して、選手はきめの細かい目標設定を行い実行していく。またユース世代という人間的な成長段階でラグビーの技術だけでなく地域性、文化を理解し、これまで積み重ねてきた長いチームの歴史と対する理解も重視している。