「ラグビークラブにおける運営考察」―大阪のクラブチーム事情を参考事例として―

鈴木道男 (どんぐりラグビークラブ) 

キーワード : クラブチーム、マネジメント、企画

【目的】
1992年日本ラグビー協会登録数がピークを迎え、その後大幅な減少が続いている。  

関西ラグビー協会登録数においても1995年登録数1987チームから2012年は1285チームに減少、702チームが消えており特にスクールや学校クラブ数の変化と比べて、社会人・クラブチーム数減少に歯止めがかからない状況である。(選手数/1チーム約32人前後) ラグビーへの関心を高め、普及、競技人口を増加させ発展させるための組織として、クラブチームの運営は、幅広い年齢層の参加機会提供などたいへん有効な手段である。その実情と経過を把握して、将来の運営について考察する。

【方法】
ラグビー協会の協力を得て、最盛期から現在までの推移を把握、特に減少率が大きいクラブチームの活動低迷と衰退原因、その対策について考える。

【結果・考察】
主にクラブチームの会員構成は、特定の出身関係者のクローズクラブ、いろいろな出身会員で構成するオープンクラブがある。減少の原因としては、①試合グランド数の激減、 1995年に大阪城ラグビー場2面の閉鎖で、年間480試合分のグランドが消滅、代替グランドの確保も十分でなかった。対策⇒自主的なグランド紹介システム「グランド協議会」活動、    ②参加機会の減少 協会主催の大会も厳正な運用になりチーム参加登録のハードルが高くなった。対策⇒自主大会の開催「東大阪トライリーグ」「関西シニアラグビーフェスティバル」、遠征、 ③有能な管理者の減少 経験豊富で熱意あるマネージャー不足、会員募集の行き詰まり、試合アレンジ、ゲーム企画の不備 対策例⇒インターネット環境を利用した情報開示、利用拡大など、④運営会計 資金不足による活動制限を避ける。⇒年会費制(クローズクラブ)、参加費制(オープンクラブ)、効率的な運用で活動費を確保する。⑤協会主導などで、総合的なサポートを行い、合理的なマネジメント運営を浸透させ実施する。

【まとめ】
ラグビークラブ数が減少一途になっており、現状では社会人以降の競技者の参加機会確保が難しい状況である。このまま自律的にクラブ数、競技人口が回復増加することは難しい。 社会人・クラブラグビーが絶滅危惧種に指定される前に、人工的に孵化増殖を促す施策が必要である。日本協会、地域協会レベルで、有効なマーケティングを行い、データを蓄積し、スポーツマネジメントを取り入れた合理的運営、組織的な啓蒙、振興活動が不可欠である。運営の成功モデル例の情報を公開して、それぞれのクラブ運営の企画に生かしていくシステムを構築しなければならない。すでにオリンピック種目となり、2019年ラグビーワールドカップ日本開催に向けて日本国民の注目が集まる機会を、日本ラグビー普及発展の最大のチャンスとしてますますの普及発展、ファン拡大に生かしたい。